非破壊情報計測・評価研究部門:材料損傷計測・評価学研究分野

教 員


  • 教授(兼)
    小川 和洋


  • 教授(兼)
    森谷 祐一


  • 准教授(兼)
    市川 裕士

社会を支える各種機能デバイス、MEMS等のナノ・マイクロ構造体の安定動作あるいは長期信頼性を保証するためには、機器に作用する実働負荷や材質の劣化損傷等の計測や評価が不可欠である。そこで、各種デバイスの機能や性能あるいは信頼性の支配メカニズムを原子の結合状態から最終製品形態まで一貫して解明し、適切な構造・材料・プロセス設計を実現するための解析技術、計測・評価技術の開発研究を推進する。さらに、弾性波等を用いた様々なスケールでの材料内損傷・き裂計測法の開発を推進する。また、エネルギー利用に関して地中熱利用システムシミュレーターの開発等を推進する。

AEを用いた地下構造の高度計測

材料内の構造やき裂の計測は、地熱貯留層評価や各種構造体の長期信頼性の保証等において不可欠である。

本分野では、地熱エネルギー抽出や地下施設内での減災を目的にAE等を用いた地下き裂計測法の開発を推進している。

Fig.1 Source location of induced AE at stope Ezlwini deep gold mine in South Africa and delineated shear fractures.

先進的な実験技術による固相接合現象の解明

固相接合現象を理解するために最も重要なアプローチは、その新しい界面を観察し、構造を知ることです。しかしながら、試料準備の困難さから、ごれまでは生成された界面をそのままで見ることが困難でした。そこで本研究室ではオージェ電子分光分析装置内の超高真空環境下で引張試験を行うという画期的な手法により、生成された界面の本来の姿を観察することに成功しました。このアプローチは新しい材料プロセスを実現する上で強力なツールとなります。

マルチスケールアプローチによる新しい界面強度評価技術の開発

新しい固相接合技術で作られた材料の強度、特にその界面強度を知ることはその信頼性を担保するためにも非常に重要です。そして、固相接合現象の理解にも繋がる重要なテーマでもあります。そこで、本研究室ではその破壊現象の素過程を理解するために収束イオンビーム加工観察装置(FIB)を援用した数μmサイズの超小型試験片を採取し微視的界面強度評価技術を開発しています。また、実際の構造物の界面強度を簡便評価するためにレーザー衝撃波を用いた巨視的な界面強度評価技術の開発も進めています。

これらのマルチスケールなアプローチによリ微視的強度と巨視的強度の関係を評価し破壊現象の統一的な理解、そして固相接合現象の理解を目指します。

Fig.2 Interfacial structure of cold sprayed deposition revealed by Auger electron spectroscopic evaluation and tensile adhesion strength test

Fig.3 Micro-scale tensile adhesion strength evaluation in the FIB system